レッスン4 収穫から保存まで
バッズが十分に成熟したら、いよいよ収穫作業に入ります。収穫したバッズは形を整えて乾燥させ、品質を安定させた上で保存します。一連の作業をまったく経験したことのない方でも、この記事の手順に従うだけでバッズを収穫して乾燥バッズに仕上げることができます。
1. バッズを収穫しよう
おめでとうございます。
あの指の先ほどの大きさだった種子が少しずつ大きくなっていき、ついに真っ白に粉を吹くバッズをたくさんつけてくれましたね。
それでは、収穫に最適なタイミングを掴むためのヒントと実際にバッズを収穫するための方法を順に説明します。
バッズの収穫時期の見分け方
一般に、フェミナイズドシードなら開花から7〜11週間で、オートフラワーなら4〜7週間で収穫時期と言われています。
しかし、品種や栽培方法によって最適な収穫時期は異なります。
収穫が早すぎても、遅すぎてもバッズの品質は低下してしまいます。
ここでは、目の前の大麻株を収穫するのに最適なタイミングを見分けるための方法を紹介します。
これは大麻のバッズを拡大した写真です。
白いつぶつぶはトリコームという名前が付いていて、THCやCBDなど、大麻の有効成分が凝縮した塊のことです。
トリコームはバッズが成熟するにしたがって、透明→琥珀色→茶色へと色を変えていきます。
トリコームが乳白色になったタイミングが、有効成分や風味がもっとも良くバッズの質が高い状態であると言われています。
大麻が開花してからは虫眼鏡等を使って、時々トリコームの色を確認するようにしましょう。
トリコームの確認には宝石を拡大するためのルーペが使われることが多いです。
バッズの収穫方法
枝をバッサリ切って、バッズから不要な部分を丁寧に取り除いてトリミングする作業です。
300gの収穫作業で約6時間ほどかかります。
思っているより時間がかかるので、時間に余裕のある日に行うのがよいです。
収穫に必要な道具
剪定バサミ
太くて硬い枝を切るのに使います。
小さくて鋭利なハサミ
ここまでちゃんとしたハサミでなくても構いませんので、樹脂のベタベタで使用不能になっても作業を継続できるように数本用意しておくと安心です。
ラテックス製の使い捨て手袋
これがないと大麻の樹脂で手がベタベタになってどうしようもないことになります。
消毒用アルコール
大麻樹脂のベタベタは石鹸と水ではほとんど落ちません。アルコールは絶対に用意しておいた方がいいです。
収穫の手順
- 手袋をつける
- 枝を一本切り落とす
- 大きめの葉っぱを取り除く
- 大きめの葉っぱを取り除く
- バッズから直接生えている小さい葉っぱを取り除く
- 2に戻る(以降繰り返し)
収穫作業の注意点
- バッズから生えている細かい葉っぱはシュガーリーフと呼ばれていて、微量の THC成分を含んでいます。一般に、収穫作業で出たシュガーリーフを集めてTHC を抽出することで大麻バターやハシシなどが作られています。
- シュガーリーフを取り除けば取り除くほど、バッズの吸い心地は良くなります。大変な作業ですが地道に頑張りましょう。
- 細かいクズがたくさん出るので、カーペットが敷かれている部屋で行うのはやめた方がいいです。
- かなり強い匂いが充満します。近隣の迷惑にならないように窓はしめきって作業しましょう。
- ハサミや手についた樹脂は、集めて火をつけて吸えば効力を発揮するので無駄にしないように。
2. 収穫したバッズを乾燥させよう
収穫したバッズを綺麗にトリミングすることができたら、乾燥させて、この後の硬化へとステップが進んでいきます。
乾燥と硬化は大麻栽培の最終ステップではありますが、この工程が乾燥バッズの品質の50%を左右するとさえ言われるほど重要なものです。
乾燥の目的
バッズの有効成分と風味を最大化するためです。
乾燥させることで雑味の原因である葉緑素を破壊することができます。
もしも乾燥が不十分であると、できたバッズは干し草のような不快な香りになってしまいます。
また、カビや雑菌の繁殖を抑えることで品質を安定化する目的もあります。
バッズの乾燥方法
- 室温15〜21度、湿度45〜55%の清潔な環境を用意します。
空調家電を使って最適な空気環境を作り上げましょう。エアコンや加湿器、ヒーターなどが役立ちます。
- トリミングしたバッズを逆さに吊るし、7〜10日間放置します。
ゆっくり時間をかけて乾燥させればさせるほど、薬効・風味ともに強力なバッズになります。
- 定期的に乾燥具合を確認して、つまようじくらいの太さの枝がパキッと音を立てて折れるくらいになれば乾燥完了です。
この状態になればバッズを砕いて喫煙することも可能ですが、最高品質に近づけるためにキュアしましょう。
乾燥中は非常に強い匂いが出ますし、空気環境の維持のしやすさも考えるとグロウボックス内で行うのが無難です。
7〜10日も待っていられないと言う場合は、グロウボックス内に電熱線ヒーターをおくなどして、高音低湿の環境にすれば1〜2日でバッズを速乾させることも可能です。
しかし品質はかなり低下しますし、火事の危険もありますので速乾には慎重になるべきです。
下手すれば苦労して育てたバッズが全て台無しになってしまう可能性もありますので。
3. 乾燥させたバッズをキュアしよう
キュアとは、すなわちバッズを熟成させる作業だと思ってください。
先ほども言いましたが、バッズの品質を向上させるためにはキュアは絶対に行わなければいけません。
大麻がまだ「ドラッグ」扱いで、ブラックマーケットで流通していた頃は、キュアの工程は無視されることが多かったそうです。
しかし、この工程に気を配ることで本当に高品質のバッズが出来上がるのです。
キュアの目的
乾燥させて外側がパリパリになったバッズも、実は内部の中心に多くの水分を残しています。
キュアとは、この中心部の水分をバッズ全体に浸透させると同時に品質を安定化し、さらに風味・効力を高めるために行われます。
乾燥バッズを喫煙する際の脱炭酸プロセスにおいてTHCAの大部分はTHCに変化 しますが、全てのTHCAが変化するわけではありません。キュアの工程を経るこ とで、バッズに含まれるTHCAの最大20%がTHCに変化して、喫煙時のTHCの 吸収量が増加します。
バッズをキュアする方法
キュアに必要なもの
1Lのメイソンジャー
百均やホームセンター、ネット通販、どこでも簡単に入手できます。1Lあたり2 5〜35gのバッズを保管することができます。自分のバッズの量に応じて購入 個数を決めます。
キュアの方法
- バッズをメイソンジャーに入れる。
ジャーの容量の75%程度をバッズが締めるようにして、上のほうに空気が残るようにします。
- はじめの1〜2週間は1日に2〜3回ほどジャーの蓋をあけて換気する。
どんどんバッズの内部の水分が外に染み出してくるので、余分な水分をジャーの外に逃し、新鮮な空気と入れ替えます。空のジャーを一つ用意して、バッズをジャーからジャーに移し替えるようにして行うとスムーズです。
- それ以降は換気の頻度を1日に1回に落とす。
- ビンを振った時に、バッズ同士がくっつかないようであればキュアは完了。
2〜3週間程度で、最高に近い品質に熟成します。しかし、理論上4〜8週間の期間であれば、週に1度以上の換気をしながら、キュアすることによって品質は向上し続けるとされています。
キュアの注意点
- 蓋をあけた時にアンモニア臭がする場合、乾燥不十分で雑菌が繁殖している可能性があります。1日程度追加で乾燥させるのが望ましいです。
- ビンをあけて匂いを嗅いだ時に、ちゃんと大麻の匂いがしていればキュアが順調に進んでいる証拠です。
- 通常、キュア開始から数時間で乾燥させたはずのバッズの表面は湿ってきま す。そうならない場合は乾燥させすぎである可能性が高いです。Boveda62(後述)を使いましょう。
キュアに最適なメイソンジャー内の環境は、室温15〜21度、湿度60〜65%です。
この環境でほおっておくことで、キュアはぐんぐん進みます。
しかし、メイソンジャー内の湿度を自力でコントロールするのは難しいですよね。
そこで、Boveda62の出番です。
Boveda62とは、バッズのキュアをスムーズに行うために開発された製品で、これをメイソンジャー内にバッズとともに入れておくだけで、内部の湿度が62%に保たれます。
Bovedaを使わずとも、記事内のやり方に従えば適切にキュアを行うことはできますが、ミスが不安な初心者の方は使用すると安心です。
Boveda62を使っているとしても、はじめの1〜2週間は1日に1度以上、蓋をあけてバッズの様子を確認するとともに換気しなければいけません。
4.完成した乾燥バッズを保存しよう
乾燥バッズの保存に適した環境
直射日光の届かない涼しくて乾燥した環境で、メイソンジャーなどのガラス瓶にいれて保管するのが最も簡単でやりやすい保存方法です。
なぜガラス瓶なのかと言うと、ガラスは静電気が起こりにくいからです。ビニール袋や、ジップロックなどのプラスチック製品は静電気が生じやすく、静電気はバッズの毛を引きつけてゆっくりと表面を破壊してしまうのです。
さらにBoveda62を使用することで内部の湿度を一定に保つことができると、よ り品質の低下を防ぐことができます。
熱を発するものや、匂いの強いものの近くは避けましょう。
また、冷蔵庫や冷凍庫で保存するのも品質を低下させます。
適切な環境で保存された大麻は、最大で2年間は品質が安定し続けると1970年代にロンドン大学の研究所が結論づけています。
適切な環境で保存しましょう。